水頭症の治療
- 脳神経外科専門医
- 脊椎脊髄外科専門医
- 日本脊髄外科学会認定医
- 日本定位・機能神経外科学会技術認定医
- ボトックス,ゼオマイン施行医
- バクロフェンポンプ施行医
水頭症
水頭症とは
水頭症は、頭の中に水(=髄液)が溜まりすぎた結果、歩行障害や認知機能障害などの神経症状を呈する病気です。水頭症は小児の「先天性水頭症」のほか、脳卒中や髄膜炎などの後に生じる「2次性水頭症」、誘因なく高齢者に多く認められる「正常圧水頭症」などがあります。
正常水頭症は高齢者に多く、①歩行障害、②認知機能障害、③尿失禁が3徴として認められます。必ずしも3徴の症状が出現するわけではなく、最も多いのは歩行障害です。典型的には歩幅が小さくなり、すり足でちょこちょこ歩きになります。単にふらつきや転びやすさ(易転倒性)のみのこともあり、加齢の症状として見逃されていることも多々あります。
歩行障害で整形外科を受診される方が多いのですが、症状の改善がない場合は水頭症や他の神経疾患の可能性がありますので、脳神経外科を受診してみてください。
治療法
水頭症の治療は外科的治療法のみとなり、大きく「LPシャント術」、「VPシャント術」、「VAシャント術」の3通りあります。
LP シャント術
LPシャント術は余分な水(髄液)を腰椎から腹部に流す方法です。頭の手術が避けられる、侵襲度が低い、などメリットがあります。腰部脊柱菅狭窄症などで腰椎のカテーテル留置が困難な場合は手術対象外となります(狭窄症の手術後であれば可能です)。全身麻酔困難な患者さまに対応すべく、当院では局所麻酔下でのLPシャント手術を行っています。
メリット
- 頭の手術を行う必要がない
- 侵襲度が低く局所麻酔で手術が可能
デメリット
- 腰の悪い方は適応外(腰の手術後であれば可能)
VP シャント術
VPシャント術は頭の中の脳室から腹部に水(髄液)を流す方法です。侵襲度は少し高くなりますが、圧格差のため脳液が流れやすいというメリットがあります。
メリット
- シャントの効果が出やすい
デメリット
- 他のシャント術と比べ侵襲度がやや高め
VAシャント術
VAシャント術は脳室から頚部の静脈に水(髄液)を流す方法で、腹部操作が難しい場合に行われます。近年は腹部に手術歴のある高齢の患者さまが増えており、VAシャント術が見直されてきています。
いずれの方法も一長一短がありますので、患者さまと相談のうえ最適な手術法を選択します。
メリット
- 腹部にカテーテルを埋め込む必要がない
デメリット
- 施行施設が少ない